抗血小板薬、抗凝固薬をお飲みの患者さんへ

循環器内科

抗血小板薬、抗凝固薬をお飲みの患者さんへ

血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬、抗血小板薬)を服用中の患者さんへ

心臓病や脳血管障害、慢性の動脈閉塞症などで治療中の方は、血栓ができるのを予防するために、血を固まりにくくするお薬を飲んでいる場合があります。

このようなお薬を飲んでいる方が手術や、出血を伴う検査を受けるとき、これらのお薬をあらかじめ中止する場合があります。 ただし、心臓病や脳血管障害、慢性の動脈閉塞症などの治療に必要なお薬であり、またお薬の種類によって中止する期間も違いますので、勝手に中止するのではなく必ず主治医の指示を受けるようにして下さい。

上部・下部内視鏡検査前中止薬・一覧表

(2024年1月改訂)

内視鏡検査時の抗血栓薬確認表

処置別の抗血栓薬対応の原則

通常内視鏡
(観察のみ)

抗血栓薬(抗血小板薬、抗凝固薬ともに)中止の必要はありません。

生検、低出血
リスク処置
(マーキング
クリップや
切開を伴わない
胆管ステント
留置など)

抗血小板薬、抗凝固薬ともに単剤であれば生検は可能です。

  1. ワーファリン内服の場合はできるだけ検査1週間以内のPTINRが
    治療域であることを確認してください。(PT-INR ≦3.0)
  2. 抗血小板薬2剤、抗血小板薬+抗凝固薬の場合は、
    当院では基本的に生検は施行できません。
    (どうしても生検が必要な場合は、内視鏡医に直接ご相談ください。)

高出血リスク手技
(内視鏡治療;
ポリペクトミー、
EMR、EST、
ESD、PEGなど)

抗血小板薬単剤

 

アスピリン
シロスタゾール

休薬せずに
内視鏡治療施行可能です。

チエノピリジン系
(チクロピジン・
クロピドグレル・
プラスグレル・
チカグレロル)

休薬もしくはアスピリン置換を
お願いします。
[休薬期間は7日間]

その他の
抗血小板薬
(別表1参照)

原則休薬をお願いします。
[休薬期間は1日間]

抗凝固薬単剤

DOAC
(プラザキサ・
イグザレルト・
アピキサバン・
リクシアナ)

処置当日の休薬をお願いします。
[休薬期間は1日/前日まで
内服継続・処置当日朝より
内服中止]
(腎機能低下の場合、
出血リスクが特に高い場合は
別表2参照してください。)

ワーファリン

可能であればDOAC置換を
お願いします。
休薬はDOACに準じます。
(人工弁置換術など
ワーファリン中止が困難で
かつDOAC置換が困難な場合は、
当院での内視鏡治療は困難です。
内視鏡医に直接ご相談ください。)

抗血小板薬2剤
もしくは
抗血小板薬+
抗凝固薬

急性期を超えて単剤に減らせる時期まで、
内視鏡治療の延期をご検討ください。
→アスピリン単剤/シロスタゾール単剤
もしくはDOAC単剤に変更可能であれば
上記に従い治療可能です。
(早期の治療が必要な場合は、
直接内視鏡医にご相談ください。)

参照;抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン2012、抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 直接経口抗凝固薬(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補2017、冠動脈疾患患者における抗血栓療法2020、末梢動脈疾患ガイドライン2022、脳卒中治療ガイドライン2021/2023 不整脈薬物治療ガイドライン2020

これらのお薬の中には、ジェネリック(後発)医薬品のあるものがあります。同じ作用のジェネリック医薬品を服用されている患者さんは、お申し出下さい。

上記以外にも、中止するのが望ましいお薬もあります。
また、上記のお薬と同じ成分であっても、名前や形が違う場合があります。

現在飲んでいるお薬、また最近まで飲んでいたお薬について、必ず医師に伝えてください。

なお、他の医療機関や保険調剤薬局でもらわれる「お薬手帳」や「くすりの説明書」を持参されると便利です。 (「お薬手帳」や「くすりの説明書」をお持ちでない方は服用中のお薬を持参して下さい。)