循環器内科
運動負荷試験
運動負荷試験とは
運動負荷試験とは運動中および運動の前後で心電図や症状から心臓の病態を調べる検査です。その目的は以下の通りです。
- 運動により心臓への血液の流れが十分であるかどうかを検討し、隠れた冠動脈の病気を見つける
- 運動によって不整脈が誘発されるか、また不整脈が運動によってどう変化するのかを判断する
- どの位運動能力(呼吸と循環能力)があるかを調べること
負荷試験の方法としては、マスター負荷試験、自転車エルゴメーター、およびトレッドミル負荷試験などがあります。
マスター負荷試験とはマスター博士が考案した運動負荷プログラムで、年齢、性別に応じた速度で階段の上り下りをすることで運動量を決定します。このなかには、1分半(シングル負荷)、3分間(ダブル負荷)などの運動負荷プログラムが含まれますが、ダブル負荷の運動量は日常生活で起こる身体負荷に相当します。マスター負荷試験の特徴は、簡便であり、どこでも施行できる検査法であることです。しかしながら、被検者による負荷量の調節を行っているものの、その人の呼吸機能、代謝機能などに応じた負荷量の調節は行われていません。さらには負荷中の心電図が記録できないので一過性の不整脈や、心筋虚血が発生しても見逃されてしまいます。
一方で、自転車エルゴメーターとトレッドミル負荷試験は、あらかじめ心電図や血圧計を装着したうえで運動を行う負荷試験です。自転車エルゴメーターは床に固定した自転車をこぎます。また、トレッドミル負荷試験はベルトコンベア-のような装置の上を早足で歩きます。運動負荷量は最大酸素摂取量を考慮して、危険がない範囲で出来るだけ多くの負荷を加えるように負荷量を定めます。また負荷中も脈拍、呼吸、血圧、心電図などがモニターされていることから、安全性も診断精度もマスター負荷試験より優れていると言えます。