閉塞性動脈硬化症

循環器内科

閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症とは

高血圧や糖尿病、高脂血症、喫煙などによる動脈硬化が基盤となり、主に骨盤内から下肢にかけての動脈が狭窄ないしは閉塞し、血流不全を生じた疾患で、しびれや冷感、歩行時に疼痛が出現し安静で症状が消失する(間欠性跛行)などの症状が認められます。症状は比較的ゆっくりと進行しますが悪化すると安静時でも痛みあり、血流不全のため潰瘍や組織が腐る(壊疽)こともあります。下の表に示すごとく重症度や治療効果の判定にFontaine分類という分類がよく用いられます。

I度 冷感、しびれ
II度 間欠性跛行
III度 安静時疼痛
IV度 虚血性潰瘍、壊疽

診断としてはMRIやCT、血管造影で下肢への血管が狭窄ないしは閉塞しているところを調べます。また足間接での収縮期血圧と上腕での収縮期血圧の比で表されるABIを測定することがスクリーニング検査として有用です。ABIが0.9以下である場合95%の感受性で本疾患を診断できます。

治療

高血圧や糖尿病、高脂血症などの動脈硬化のリスクファクタの治療が不可欠です。それとともにFontaine分類Ⅰ度からⅡ度では薬物療法による症状の軽減を行います。Ⅲ度やⅣ度の状態ではカテーテルによる血管の拡張や外科的な治療が必要となります。

日常生活の注意点

  1. 禁煙:
    血管を収縮させ末梢循環を悪化させます。また動脈硬化も悪化させます。禁煙に向けて努力しましょう
  2. 運動療法:
    歩くことは下肢の血流を改善する効果があります。痛みなどが出ない程度の歩行を繰り返し毎日行ってください。
  3. 足の保護:
    血流が悪いため傷が治りにくくなります。爪切りや靴などによる障害に注意してください。また下肢が冷えると循環が悪くなります。常に清潔に保ち、保温してください。
  4. 本疾患を持つ患者さんは脳梗塞や心筋梗塞、狭心症、腹部動脈瘤などの疾患の発症率も高く、胸痛やしびれ、麻痺などの神経症状が出現した場合など早期に医師に相談してください。